薬局開設手続き代行サービス

店舗物件の選定

薬局店舗物件を選定する場合のポイントを開設します。

1.店舗の構造

薬局を開設する店舗物件を契約する場合は、必ず契約前に内見して、最低でも下記事項は確認してください。契約後に許可が下りずに開局できないということがないように注意しましょう。

店舗の構造に関する確認事項
面積 薬局開局に必要な面積は、最低19.8㎡です。この面積にはトイレや更衣室など付随設備は含まず、調剤室、待合室、受付・情報提供場所の合計面積です。
調剤室、待合室ともに6.6㎡以上の面積を確保したうえで、情報提供場所等を加えて、合計19.8㎡以上を確保する必要があります。
ただし、薬剤師2名配置の場合は調剤室を9.9㎡以上確保するなど、ローカルルールで細かく定められているケースが多いため、必ず出店する地域の保健所で指導基準や審査基準を確認して、必要な面積を確保できるようにレイアウトを検討します。
実際に調剤台や投薬カウンターなどを配置すると、結構なスペースを取られてしまいますので、多少でも面積に余裕のある物件を選定したいところです。
※なお、面積は内法で計算します。通常、不動産屋から提示される図面や情報は、壁芯面積(壁の中心から計測した寸法で計算)の場合が一般的ですので、面積要件がギリギリの物件のお場合は、内見の際に壁の内側から内側で測って、面積を計算して下さい。
天井高 床面から2.1m以上の高さが必要です。建築基準法で居室の天井高は2.1m以上必要と定められているため、一般的な店舗物件などの場合は、まず2.1m以上の天井高があると思います。
なお、階段下などで、高さが2.1mないスペースがある場合は、床から1m以上の高さがある場合は、該当箇所の面積の2分の1を店舗面積にカウントできます。(ローカルルールあり)
給排水 調剤室に給排水設備が必要です。まれに、倉庫跡のテナントや、ビルのオフィステナントなどで、給排水設備の無い物件があります。新たに設置できる場合は良いのですが、構造上無理なケースもありますので、必ず給排水があるか確認して下さい。
換気 換気扇が必要になります。(換気扇が後付けできないケースはあまり無いと思いますが、念のため注意しておきましょう)
その他 消防法に関連する非常口の問題や、排煙窓など、別途考慮する必要のある物件もありますので、可能であれば内装工事の施工予定業者などに確認して下さい。店舗の構造設備に絡む場合には、保健所に相談した方が良いケースもあります。

2.医療機関との独立性

調剤薬局を開局する場合、保健所で薬局開設許可を受けた後、厚生局で保険薬局指定申請を行い、保険指定を受けなければ保険調剤ができません。
厚生局では、薬局と医療機関とが、経営・経済的に独立しているかをチェックしますが、このとき、薬局店舗と医療機関との位置関係によっては、保険指定が受けられない場合がありますので、店舗物件を選定する場合は、医療機関との位置関係に注意が必要です。

医療機関との独立性に関する確認事項
立地 薬局と医療機関とが、構造的に分かれている必要があります。(もちろん経済的にもですが)
以前は、医療機関から薬局へ患者さんが移動する場合に、一旦公道に出る必要がありましたが、現在は緩和され、必ずしも公道を介さなくても良しとなりました。
そのため、医療機関の敷地内に薬局を出店できるケースも増えてきていますが、どんな場合でもOKというわけではなく、公道を介さない場合は、外部からの視認性などの点で厚生局の個別判断となる場合が多いので、事前に位置関係のわかる資料を作成するなどして、厚生局の窓口で確認した方が安全です。
特に、同じビル内に入居している場合で、患者さんが共通の出入口を利用するような場合は、注意が必要なケースも多いので、必ず事前確認して下さい。
不動産名義 医療機関が所有する不動産を薬局が賃貸借して、薬局を開局するケースで注意したいのが、不動産の所有者名義が誰か?という点です。
物件の所有者名義が、医師個人の場合や、医師の親族、MS法人などの場合は、薬局との間で、地域相場に即した賃料での賃貸借契約を締結すれば、その物件に薬局を出店することは可能です。(ただし、上で見た通り、医療機関との位置関係に問題がなければですが)
しかし、もし不動産の所有者が、医師個人ではなく、医療法人名義の場合は、そもそも医療法人は、不動産収入を得るという大家さんビジネスをすることはできないため(法律で禁止されています)、有効な賃貸借契約を締結して、薬局が借りることはできません。
医療機関所有の店舗物件に出店する場合は、必ず所有者の名義が医療法人名義でないことを確認するようにして下さい。

平面図の作成

薬局開設許可申請に添付する平面図(保健所への事前相談に持参する平面図)の作成方法について解説します。

1.施工業者に作成してもらう

まず、平面図ですが、施工業者の作成した図面に、必要な情報(鍵のかかる保管庫など)を手書き追加して完成させてもOKです。

ただし、薬局の内装工事に慣れている工事業者であれば良いのですが、そうでない場合は、いくつか注意点があります。

まず、薬局の平面図では面積を内法面積としますので、壁の内側から内側で計測した寸法で面積を計算します。

調剤室、待合室、情報提供場所など、それぞれ面積を求め、薬局全体の面積を求めます。(トイレや休憩室を含めずに最低19.8㎡以上確保する必要があります)

あらかじめ施工業者に内法で面積を出してもらうように頼んでおくか、完成した図面に修正した面積を書き入れるようにしましょう。

また、冷蔵庫やカギのかかる保管庫の位置など、各種設備の配置や種類が定まっていない場合も、事前相談前にひとまず確定させて、図面上に書き込んで下さい。

そして、調剤室の透視面の寸法や換気扇の位置なども図面に記載されているか確認します。もし、記載がない場合は手書きでよいので追加記入して下さい。

2.自分で平面図を作成する場合

許可申請や、その事前相談に使用する平面図は、必ずしも施工業者に作成してもらわなければいけないわけではありません。調剤室や待合室、その他の配置と面積、寸法、設備備品の位置関係がわかればよいので、専門的な知識がなくても作成することは可能です。(薬局構造設備のルールに適合するようにレイアウトする必要はあります。)

自分で作成する場合は、手書きで作成しても良いですし、パソコンが得意な方は、JWCADなどのフリーソフトを利用するなどして、平面図を作っていきます。

注意点としては、店舗物件を内見した際に、内法の寸法をメジャーなどで計測しておき、その寸法で図面を作って行くということです。
また、調剤室が通路のように通り抜けできないような構造にすることや、床から約90㎝の高さに調剤室の透視面を設けること、その他、構造設備基準や審査基準、指導基準を確認のうえ、スタッフや患者さんの同線を意識した希望のレイアウトを作って行きます。
最終的には、自分の希望通りに施工できるかどうかを工事業者に確認し、問題なければ、自分で作成した図面を、事前相談や開設許可申請に利用しても大丈夫です。

薬局の立地

店舗物件選定のポイントでも少し触れましたが薬局と医療機関との立地(位置関係)に関する注意点について解説します。

「一体的な構造」の解釈の緩和

以前は、保険医療機関と保険薬局を同じ敷地内や建物内に併設することを厚生労働省は認めていませんでした。これは、医療機関と薬局の独立性の点から、「一体的な経営」だけでなく「一体的な構造」も禁止しているためです。
そのため、医療機関と薬局は、公道を介さずに、専用道路など敷地内を通って行き来できる形態は認めらていませんでした。

実際には、医療機関と薬局が同一のビルに入居していて、薬局専用入口が無い場合に、患者以外の不特定多数の人が利用するような業種(コンビニなど)も同じビル内にある場合には、エレベーターや廊下を公道と見なして、保険指定を認めてくれるケースなどはありましたが、あくまでも原則は禁止でしたし、薬局と医療機関が並んで建っているような場合、本来は医療機関から駐車場を通って薬局に行くことができるような構造なのに、わざわざフェンスを立てて、一度公道に出てから、薬局に行けるようにするなど、患者さんにとっても不便な規制でした。

そうした背景から、平成27年6月30日に閣議決定された「規制改革実施計画」を踏まえ、患者さんの利便性を考慮し、平成28年10月1日以降、「一体的な構造」の解釈を緩和して、保険医療機関と同一の敷地内に保険薬局を併設することを限定的に認めることになりました。(ただし経営上の独立性が確保されていることが前提です)

しかし、どんな条件でもOKというわけではなく、構造によっては、厚生局の個別判断となり、場合によっては認められないケースもあるため、開局準備の際は、本当に保険薬局として指定を受けることが可能か確認が必要です。

認められるケース(フェンスなどで仕切らなくて良い)

個別判断のケース

※例えば事例1の場合など、公道から見たときに、看板などで薬局を視認できる場合は、OKとなる可能性が高いです。

認められないケース

患者や不特定多数の人が、薬局に自由に行き来できないケースは認められないケースが多いです。

医療機関の建物内に薬局がある場合や、医療機関と薬局が専用通路で繋がっている場合、医療機関の休診日に公道から薬局へ出入りできなくなる場合などは基本NGです。

しかし、最終的には厚生局の個別判断によるところですので、NGと思われるケースでも念のため事前に確認するようにして下さい。

保健所立入調査の準備

開局する薬局の地域を管轄する保健所窓口で薬局開設許可申請書類を提出した後、保健所の担当者が実際に薬局店舗を訪問して、立入調査をします。

管理薬剤師と、許可申請手続きについて把握している人間が同席します。

この調査では、薬局の構造に問題がないかどうか、必要な器具備品が揃っているかなどを確認し、問題がなければ、5日~1週間程度で開設許可が下りますので、改めて許可証を受け取りに保健所へ出向きます。(その後、厚生局に保険薬局指定申請を行うという流れです)

立入検査の際に必要なものは?

まず、保健所の担当者が実際に来店してチェックしますので、薬局の内装工事が終わっている必要があります。(厳密には、細かな部分で工事が未完成でも、検査に影響のない範囲であれば大丈夫です)

また、平面図を確認しながらの調査になるので、図面通りの配置で各什器備品を配置しますが、レセコンや家具など、検査時に無くても問題のないものは、検査後に搬入してもOKです。

なお、以下に掲げる器具、書籍、手順書などは、全て揃っている必要がありますのでご注意下さい。

薬局に備える器具等

薬局には下記の器具を備えておかなくてはなりません。保健所の立入調査のときに、一つ一つチェックされます。また、薬局開局後も店舗内(段ボールに入れて休憩室などに入れておいてもOK)に備えておき、許可の更新の際は、改めて立入調査の際にチェックを受けることになります。

※更新の際は、簡単なチェックだけで終わることも多いです。

  1. 液量器(50cc未満、中~高容量(50cc以上)のもの各1つ以上備える
  2. 温度計(100度)
  3. 水浴
  4. 調剤台
  5. 軟膏板
  6. 乳鉢(散剤用)及び乳棒
  7. はかり(感量10ミリグラム、感量100ミリグラム)
  8. ビーカー
  9. ふるい器
  10. へら(金属製のもの及び角製又はこれに類するもの)
  11. メスピペット
  12. メスフラスコ又はメスシリンダー
  13. 薬匙(金属製のもの及び角製又はこれに類するもの)
  14. ロート
  15. 調剤に必要な書籍
    ①日本薬局方及びその解説書
    ②薬事関係法規
    ③調剤技術に関するもの
    ④添付文書に関するもの

こちらの器具については、ネット通販などでも既に一式がセットになっているものを購入できますし、医薬品卸や専門業者からも購入可能です、

普段、業務で使用しないものが多いので、文字だけではイメージしにくいものもありますが、ここは難しく考えずに一式セット購入がお薦めです。

なお、少しだけ解説すると、4の調剤台は、一式セットで購入というものではなく、ご存じの通り調剤室に配置する錠剤台や散薬台などの調剤台です。

7のはかりについては、日常業務で使用する電子天秤でOKです。

10のへら、13の薬匙ですが、金属製のものと樹脂製のものを揃えます。「角製またはこれに類するもの」ではピンと来ませんが、要するに樹脂製でOKです。

立入検査の時には、これらの器具をチェックされるので、邪魔にならないスペースにでも並べて置けば、流れ作業でチェックが進み、早く検査が終了すると思います。

なお、薬局製剤製造業の許可を受ける場合は、上で見た器具以外に、顕微鏡やデシケーター、バーナー又はアルコールランプなど、その他いくつかの器具が必要になります。詳しくは、各保健所の手引き等でご確認下さい。

薬局に必要な書籍

上の器具一覧の最後にある書籍ですが、以下に定番の書籍をご紹介します

これら書籍の最新版を揃えておけば、まず問題ありません。

①日本薬局方及びその解説書

■第十七改定 日本薬局方 条文と注釈 「広川書店」

■第十七改定 日本薬局方・JPDI2016セット版 「じほう」

※「じほう」か「広川書店」のいずれかのものを準備します。どちらも4万円弱する高価な書籍ですので、必ず最新版を購入して下さい。立入調査時に最新版が発売されていると、古いものではNGで、最新版を準備するように求められますので注意して下さい。

②薬事関係法規

■薬事衛生六法 2020 「薬事日報社」

③調剤技術に関するもの

■第十四改訂 調剤指針 「薬事日報社」

④添付文書に関するもの

■JAPIC医療用医薬品集2021 「日本医薬情報センター」

■JAPIC一般用医薬品集2021 「日本医薬情報センター」

※上記書籍ではなく、使用する医薬品の添付文書をファイルしたものでも可です。

薬局製剤製造業の許可を受ける場合は、以下の書籍も準備しましょう。

■薬局製剤業務指針第6版 「薬事日報社」

指針・手順書の作成

保健所の立入調査の際に、各種の安全管理指針、業務手順書などをチェックされますので、各薬局の実情に合わせて作成し薬局に備えておきます。

これら指針や手順書をゼロから作成したのでは大変な作業になりますが、薬剤師会のWEBサイトなどでもモデルとなる雛形が公開されていますので、必要に応じて、雛形に修正を加えて、自分の薬局に合った内容にして下さい。

  • 薬局における医療安全管理指針
  • 医薬品の安全使用のための業務手順書
  • 調剤及び医薬品の販売又は授与の業務に係る適正な管理のための業務に関する手順書
  • 調剤された薬剤及び医薬品の情報提供のための業務に関する指針
  • 調剤された薬剤及び医薬品の情報提供に関する業務手順書
  • 要指導医薬品及び一般用医薬品の適性販売等業務指針
  • 要指導医薬品及び一般用医薬品の適性販売等業務手順書 など

その他、、薬局の管理に関する帳簿や、必要に応じて麻薬帳簿、掲示する事項が定めらている掲示物を作成して準備しておきます。

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